2年前に悪天候で中止した北アルプス黒部源流遠征を計画する。今回は、前回と同様に時計回りで計画すると雲ノ平が9月の3連休にバッティングするため折立から入山し時計と逆回りで登ることにする。それから山仲間の来福さんが3日目の途中まで同行することになり賑やかな山行となる。
※ 今回は、日本百名山4座登頂
【雲ノ平について】
若い頃から憧れていた雲ノ平、やっと念願が叶って足を踏み入れることが出来ました。雲ノ平を色々な場所(太郎平・水晶岳・祖父岳(じいだけ)・現地 等)から眺めていると一番良かったのは雲ノ平を身近に見守る祖父岳からの眺望でした。また雲ノ平への登山者は秋が多いと聞きましたが写真を趣味にしている私はチングルマが咲き乱れる夏が一番だと感じました。
2017年9月15日《1日目》 折立登山口~太郎平小屋
【行程】
福岡⦅自宅⦆(14日夜、車で出発)→折立登山口(09:30)→三角点(11:15)→太郎平小屋(14:15)
《行動時間》4時間45分
14日19時過ぎに自宅を車で出発し、古賀SAで来福さんと合流し富山県の折立登山口を目指す。折立登山口に15日9時前に到着。(所要時間:14時間00分)
9時30分に折立登山口を出発。メンバーは、佐藤・来福・大西。
2017年9月16日《2日目》 太郎平小屋~北ノ俣岳~黒部五郎岳【日本百名山】~黒部五郎小舎
【行程】
太郎平小屋(5:40)→北ノ俣岳(7:55-8:00)→中俣乗越→黒部五郎岳(11:30-11:45)→黒部五郎小舎(14:10) 《行動時間:8時間30分》
いよいよ今回の本格的な登山開始となる。台風が日本に近づいているためか天気は曇りとなっている。
太郎平小屋を5時40分に出発。太郎山を過ぎ暫く歩いていると雲に浮かぶ白山が見えてきたため池塘を入れて白山を撮る。なだらかな登山道を歩き北ノ俣岳に到着。記念撮影後、黒部五郎岳に足を進める。
黒部五郎岳直下の分岐点に着くと十数名の団体と一緒になる。この分岐点にザックをデポして山頂を目指す。直ぐに黒部五郎岳山頂に登頂するがカール側にガスがかかり眺めが悪い。記念撮影後、暫くガスが切れるのを待つが状況が変わらないため諦めて分岐点に戻ることにする。分岐点に戻りカールを下るルートで黒部五郎小舎に向かう。カールの底に降りる手前で一番嫌な雨が降り出したため雨具を身に着ける。カールの底から山頂を見上げるとガスで山頂が見えないため楽しみにしていた撮影を諦め黒部五郎小舎へ向かう。いくつかの小さな沢を渡渉しながら歩いていると今夜の宿泊先の黒部五郎小舎が見えてきた。小舎に到着後、玄関のテーブルで休んでいると黒部五郎岳で会った団体をガイドしている佐藤玲奈さんと一緒になりビールを飲みながら山の話で盛り上がり楽しいひとときを過ごすことが出来た。
2017年9月17日《3日目》 黒部五郎小舎~三俣山荘~鷲羽岳【日本百名山】~水晶小屋
【行程】
黒部五郎小舎(6:00)→三俣山荘巻道合流点(7:30)→三俣山荘(8:35-8:50)→鷲羽岳(10:40-10:45)→ワリモ岳(11:35)→ワリモ北分岐(12:05-12:20 昼食))→水晶小屋(13:05)
《行動時間:7時間05分》
起床して外を確認するとどんより曇っている。九州に台風が近づいているし天気が好転することも考えられず雨具を着て小舎を出発することにする。小舎を出て暫くすると案の定小雨が降り出してきた。
三俣山荘巻道合流点に近づくと先に小舎を出発していた来福さんが合流点で巻道への合図をして来たため、雨と風で天気も悪いし我々も三俣蓮華岳を回避して三俣山荘を目指すことにする。
三俣山荘に到着すると先行していた某ツアーの団体さんと再度合流する。団体さんは小屋に荷物をデポして鷲羽岳をピストンするとのこと。また、来福さんは双六岳方面に向かうためここで別れることになる。
一息ついて鷲羽岳に向け出発する。視界が利かない雨と風の中、ザレた急坂を喘ぎながら何とか鷲羽岳に登頂。カメラを濡らさない様に注意しながら記念撮影を行ない早々に山頂を後にする。
ワリモ岳に到着するが悪天候のため記念撮影を済ませ直ぐに足を進める。ワリモ北分岐に着き軽食を摂ることにする。丁度、東からの強風を避けながらの休憩となりスープを飲み体を温める。落ち着いたところで今日の宿泊先の水晶小屋へ向かう。13時過ぎに水晶小屋に到着。宿泊客は台風の影響もあり我々を含め5名で小屋はガラガラの状況だ。夜になると東からの吹上が強く寝ていると小屋が揺れて寝付けない状態が延々と続いた。
2017年9月18日《4日目》 水晶小屋~水晶岳【日本百名山】~水晶小屋
【行程】
水晶小屋(14:10)→水晶岳(14:40-15:30)→水晶小屋(16:10) 《行動時間:2時間00分》
起床しても台風の影響が強く宿泊者全員が小屋で足止め状態となる。天気予報では14時頃から晴れ模様のためそれまで小屋で天気の回復を待つことにする。そこで伊藤正一氏の「黒部の山賊」を読む機会に恵まれる。読みだすとなかなか面白く戦後の黒部の状況が伝わってきた。山でこんな時間があっても良いなとつくづく思う。
14時近くになり少しづつ雲が切れてきたため登山の準備を始める。今日はもう一泊水晶小屋に宿泊することに決めたため、水晶岳に軽装でピストンするだけとなる。
14時過ぎに水晶岳を目指す。軽装のため30分で山頂に到着。山頂手前より西側から雲が切れだしてきたが、完全に雲が切れることは無い。それでも山頂で雲が切れるのを待つがそれも叶わず下山することにする。復路では水晶岳が見え隠れするため山頂を撮りながらの下山となった。
夕食を終え何気なく外を見ると槍ヶ岳がハッキリと見える。慌てて写真機材を持って小屋を飛び出し夕景の撮影会となった。防寒対策をしていても小屋の外は強風と寒さで体に堪えるが何とか日の入りを撮影することが出来た。また日の入り後は満点の星空となり天の川も見え寒さと強風に耐えながら夜空の撮影を楽しんだ。
2017年9月19日《5日目》 水晶小屋~祖父岳~雲ノ平~雲ノ平山荘
【行程】
水晶小屋(7:45)→ワリモ北分岐(8:30)~岩苔乗越(8:40)~祖父岳(9:45-10:10)→祖父岳分岐(10:30)→雲ノ平(スイス庭園)→雲ノ平山荘(11:55) 《行動時間:4時間10分》
前夜は台風一過の後、星空に恵まれやっと満足出来る一日となった。
4時過ぎに起床し外を眺めるとピーカン状態の天候となっている。小屋の窓越しに外の状況を確認しながら日の出を待っていると日の出方向が赤く染まってきたためカメラを持って外に出る。日の出は小屋裏の赤岳山頂から撮影することにする。山頂に上がると絶好の撮影日和となっている。ここで日の出前から約1時間思う存分日の出の撮影を行ない小屋に戻ると朝食は我々2人だけとなっていた。慌てて朝食を済ませ登山の準備を行ない7時45分に二日間お世話になった水晶小屋を後にする。
今日の行程は雲ノ平山荘まで下るだけなのでゆっくりした山旅となる。祖父岳山頂に着くと天気も良く360度眺望良好で思う存分撮影を楽しむ。落ち着いたところで雲ノ平へ出発すると祖父岳分岐までの下りは雲ノ平が一面見渡せて気持ちが良い。斜面を下りきって木道に入り雲ノ平山荘に向かうが、途中、スイス庭園に寄ることにする。ここからの水晶岳の眺めが素晴らしいと本に紹介してあったため、まずは雲ノ平の初めての散策場所になる。スイス庭園に到着すると流石にここからの水晶岳の眺めは迫力があった。
雲ノ平山荘に到着し受付を済ませ山荘で昼食を摂ることにする。山荘のメニューは都会並みでビックリしながら好みのトマトベースのパスタを注文する。ビールを片手にパスタがとても美味しい。一息ついて雲ノ平散策に出かける。まず、かの有名な「動き岩」に出かける。この場所は、山荘では繋がらない携帯が繋がるとのことなので携帯持参で現地に着くと話のとおり携帯が繋がった。但し、LINEで写真を送ろうとすると電波が弱いせいか送信出来なかった。動き岩はTVで見たとおり自分の力でも動かすことが出来た。
次の目的地は祖母岳・アルプス庭園で一旦山荘に戻りここから約15分歩くことになる。現地に着き廻りの木立を見ているとアルプスの雰囲気が出ている様な気がした。
夕食は石狩鍋でこんな山奥で食べられることに驚いた。夕食後、黒部源流の歴史についてスライドショーがあった。内容は「黒部の山賊」どおりで小屋の主人・伊藤二朗氏の説明後に放映された。
また、夕食後に小屋のご主人と1時間程度山の環境について話し合う機会に恵まれ有意義な一夜となった。
2017年9月20日《6日目》 雲ノ平山荘~薬師沢小屋~太郎平小屋~薬師岳山荘
【行程】
雲ノ平山荘(6:40)→薬師沢小屋(8:50ー9:10)~太郎平小屋(11:50-12:30)→薬師岳山荘(14:30)
《行動時間:7時間50分》
今日の行程は、明日に登山予定の薬師岳へのルートをひたすらに歩くだけとなる。
雲ノ平山荘を6時40分に出発。木道のアラスカ庭園を過ぎ大きな岩がゴロゴロした急坂を薬師沢小屋まで下る。この坂は、上り下りどちらを使ってもとても辛い登山道だ。薬師沢に近づきいくつかのハシゴを利用して薬師沢小屋に到着。ここで小休止をする。
薬師沢小屋からはダラダラとした登りとなる。足腰には優しいため登りが非常に優しく感じる。又、この登山道は山野草が多く目を楽しませてくれるのでありがたい。坂を登り切ったところでヒョッコリ太郎平小屋が現れ予定より少し早めに太郎平小屋に到着出来た。
太郎平小屋で昼食タイムを取る。昼食は、ニンニク入り大盛ラーメンで冷えた体に食べるととても美味しい。ここで一息ついて薬師岳山荘に予約の電話を入れて出発する。途中、風とガスに悩まされながら薬師岳山荘に到着する。到着後、温度計を確認すると1℃で北アルプスの厳しさを改めて感じる。
夕食は、宿泊者みんなで乾杯し山の話で盛り上がり楽しい一夜となった。
2017年9月21日《7日目》 薬師岳山荘~薬師岳~薬師岳山荘~太郎平小屋~折立
【行程】
薬師岳山荘(7:10)→薬師岳(8:00ー8:20)~薬師岳山荘(9:50-9:35)→太郎平小屋(11:00-11:40)→三角点(12:20)→折立登山口(14:40)
《行動時間:7時間30分》
朝食前に薬師岳をピストンすることにしていたが天気の回復が遅れたため、朝食後に登頂することにする。山頂へは前夜仲良くなった5名で登ることにする。
7時10分に薬師岳山荘を出発。少しづつガスが切れていく中、山頂まで1時間の登りとなる。登りだして直ぐに雷鳥を見かける。今回の山行で初めて雷鳥を見るメンバーもいて撮影に足を止める。それから少し足を進めていると東側のガスが取れ絶好のブロッケン現象の条件が整うと直ぐに西側斜面にブロッケンが現れた。それも虹の色が結構濃く出ている。全員でそれを楽しみながら写真撮影に時間を忘れる。足を進めても山の稜線を歩いているためずっとブロッケンが追いかけている様な状態になる。
山頂手前で360度眺望が開け遠くの山々が見えて最高の条件になった。小屋から50分で薬師岳に登頂。みんなで記念写真を撮りあいながら山頂からの展望を楽しむ。全員満足したところで下山することにするが、新潟から来られた堤さんが北薬師岳まで行くと言うことで別れる。ほかの4名は山荘まで45分で下山した。山荘に到着後、身支度を整えて折立登山口に4名で下山することにする。
9時35分、薬師岳山荘を後にする。昨日、ガスの中を登ってきた登山道を景観を眺めながらの下山となり気持ち良く太郎平小屋に到着。ここで昼食を摂り最後のなだらかな坂を無事に折立登山口に下山した。
今回の長い山行も何の事故も無く「黒部の神様」に感謝です!!
コメントをお書きください
城下 訓子 (水曜日, 27 9月 2017 08:59)
長い山旅なのに最後までお二人が元気な事にびっくりしました。
雨あり、ガスあり、晴れありと天候一通りが1週間に凝縮され それなりの美しさが感じられました。
まるで人生の様。
お二人は素晴らしいパートナーに恵まれていて これからの活躍も楽しみですね。
フオトギャラリーの「北斗七星と水晶岳」素晴らしい写真をみて感動しました。
もちろん他の写真も!
九重ヒュッテ、是非泊りに行きます。
素晴らしいブログを見せていただき、ありがとうございました。
これからもたまに開いて 見せていただきます。
追伸:30日移動で1~2日山形県の朝日連峰北、以東岳(以東岳避難小屋が新築となり1日から一般利用可)に車で行ってきます。
一人運転で6時間少々かかります。
大西 秀治 (金曜日, 29 9月 2017 09:15)
コメントをいただきありがとうございます。
城下さんの健脚振りには驚きました。流石に日本の屋根を歩き続けてあるのがお話を聞いていても十分に伝わってきました。
九州へ遠征に来られることがあれば是非九重ヒュッテに宿泊いただければと思います。一泊2食で7000円程で料理がとても美味しいです。その節は、お声かけいただければ調整させていただきます。